これからは速く安全が重要:擦過に強いサイクルウェア - DSM社がつくる世界最強の繊維『ダイニーマ®』とは - vol.2
プロツアーチームDSMには、メインスポンサーDSM社製品であるダイニーマ®繊維を使ったサイクルウェアが提供されています。サイクルジャージだけでなく、ビブショーツとアンダーウェアにもダイニーマ®が使われているとのこと。
Royal DSM日本法人、DSM株式会社の代表取締役社長 丸山 和則さまと、ダイニーマ® 事業開発シニアマネジャーの鳥野見 雅志さまのインタビューです。
チームDSMといえば、「落車でも破れなかったあのウェアのチーム!」とご存知の方が多いはず。メインスポンサーのDSM社が何をチームに提供しているのか、DSM社の作る世界最強の繊維ダイニーマ®とはどういうものなのかを、わかりやすく丁寧に教えてくださいました。
自転車競技が大好きな方だけでなく、最新のテクノロジーがどうやって私たちの日常生活を便利に快適にするのかが面白く読める内容となっています。
シリーズ3回の2回目です。
目次
Vol.2
・ダイニーマ®を使ったサイクルウェアの強度は?
・スポーツに必要な強度を提案すること
・生地の強度はどうやって決める?
■Q4. ダイニーマ®を使ったサイクルウェアの強度とはどのくらいですか? ダイニーマを使うことで起こる良いことを教えてください。
ダイニーマ®を使ったウエアを着て起こる良いことは、レースで皆さんが目撃したようにウェアの耐久性が上がることです。強度的な説明は難しいのでデータ的な説明よりも分かりやすい事例が良いと思います。
こちらは3月のレースで落車した女性選手が着用していたウェア画像です。
サイクルジャージが大きく破れていますが、アンダーウェアにもダイニーマ®を使っていたため肌の損傷がほとんどありませんでした。
ビブショーツは表面の生地が破れましたが、その下のダイニーマを織りこんだ生地が全く損傷がないことがよくわかると思います。
■いろいろなチームの監督や選手にお話を聞くと、口々に「シーズン中にケガをしないこと」が重要と言います。ケガをしてしまうとレースを続けながらではなかなか治りにくいためです。ケガを負わないことに着目すると、ダイニーマ®のウェアがより軽く強くなっているのであれば、選手の側から使いたいという声が必ず上がってくると思います。
その通りです。 バイクレースでは時速70km以上で転倒したりするそうですから、そうした限界を探るアスリートに少しでも安全性と安心感を高めていただくのが我々の願うところです。
ダイニーマ®のもう一つの特徴として『水を吸わない』という特徴があります。汗を吸わないという特徴は汗の発散を助けるという点ではメリットだと思います。ダイニーマ®だけでスポーツウェアの生地を作っているわけではありませんので、他の繊維と混ぜて織ることで強度があり汗の発散にも優れたスポーツウェアが作れます。
スポーツウェアの強度を上げるためにダイニーマ®を混ぜてあげる、それによって破れにくくする、とイメージすると分かりやすいでしょう。ガラスに針金が入っているのを見たことがあるかと思いますが、針金が入っていると衝撃を受けてもガラスは割れますが散らばりません。リップストップ生地(破けない処理が施されている)では、ダイニーマ®も同じイメージで使われていると考えていただいたら分かりやすいと思います。
Back on the ice in Inzell 🤩 photo Neeke Anna Wassenbergh-Smit pic.twitter.com/A0RUavwczj
— Stien Vanhoutte (@stienvanhoutte) July 11, 2020
■Q5. 強度の話ですが、ビオレーサーのスピードスケートのウェア担当者と話をしたことがあります。スピードスケートの場合、短距離ではスケートのエッジ(刃)で手を切ってしまうことがあるそうです。それを防ぐ強度を備えるためにダイニーマ®をグローブに採用しているようです。ただ、スピードスケートに必要な強度ほどサイクルウェアにはそこまでの強度は必要ないので、繊維を変えている、という話でした。
ショートトラックのように氷に手をつきながらおこなう競技はエッジで手を切ってしまうことがあるそうで、ナイフで切れない軍手のようにダイニーマ®を100%近く沢山入れて、防弾チョッキやナイフで切れない軍手レベルの製品を作っています。※
※防刃性の高いダイニーマ®耐切創手袋には、ダイニーマ®繊維を特殊コーテイングしたダイニーマ®ダイヤモンドテクノロジーのグレードが採用されているそうです。
サイクルウェアの場合はそこまでは必要ありませんので、破けないようにする、リップストップの効果が発揮されることが重要だと思います。
■Q6. 生地の強度はどうやって決めているのでしょうか?
ダイニーマ®担当 鳥野見さま>>
サイクルウェアメーカーが『どういう強度』の『どういう構成のもの』でサイクルウェアを作るのか、DSMはそのために糸の選定をして生地メーカーに糸(ダイニーマ®ファイバー)を提供しています。
糸もフラットヤーンで使わず、カバーリングという芯の糸の周りにダイニーマ®を巻いたごくごく細いミクロンの糸にするなど技術を施すことで、非常に糸や生地が強くなっていきます。
丸山が言いましたようにダイニーマ®は「水を吸わない」のですが、その他に「伸びない」という特徴があります。ダイニーマ®だけですと伸縮性のない生地ができてしまうので、それを織り方や生地の使い方を駆使しストレッチ性のある生地にしていきます。生地メーカーはそういうことをしています。
丸山さま>>
先程きちんと説明ができてなかったと思いますのでお伝えすると、DSMは材料を作る会社と言いましたが、私たちが作るのはダイニーマ®の糸までです。非常に強い糸を作ります。アパレル用のウルトラライト生地に適したとても細い糸から、産業用ロープに使用される太い糸まで作れます。
その太いダイニーマ®繊維を、ロープメーカーではロープに編んで大型船を引っ張る強いタグロープにします。船を引っ張るには伸びるロープでは都合が悪いわけなのでダイニーマ®が最適です。
鳥野見さま>>
ダイニーマ®デニム生地もすでに販売されています。ダイニーマ®を織り込んだライダー用のもので、バイクで転倒しても破れにくいデニムです。コットンだけでは十分な強度を出すのは大変ですが、ある程度の量のダイニーマ®を入れることで薄くても十分な強度を出すことができます。
私たちのお客様は、最終的に製品をお使いいただくユーザーですが、直接の取引は布地を作る方々だったり、ロープを作る方々なのです。
生地メーカーではいろいろな試作品の布を作ります。作ってみて強度が出ない、より薄地にしたい、など改善点が出てきます。生地メーカーの要求にお応えできるよう相談にのりながら適切なダイニーマ®繊維を紹介し、ユーザーが満足してお使いいただけるような生地を協働(同じ目的のために、力をあわせて働くこと)で開発しています。
通常の販売系のビジネスであれば生地メーカーさまとDSMの営業が話し合います。ファッションブランド企業様の営業担当の場合は、ブランドの担当者と生地メーカーとで話をします。
丸山さま>>
最近の事例ですと、ECCO社(エコー)という皮革・靴メーカー様が大変薄くした皮にダイニーマ®のコンポジット不織布を貼って、とても薄く軽く、とても強い皮革生地をつくりました。 ダイニーマ®ボンデッドレザーと言います。
このダイニーマ®ボンデッドレザーは、吉田カバン様のPORTERブランドの85周年モデルにも採用されています。
他には、TUMI社というカバンのブランドはデザインコンシャスですが、バリスティックナイロンのカバンの表面に100%ダイニーマ®の薄い半透明の布をかぶせた、これまでに見たことのない見た目のカバンになっています。私自身も気に入って購入して持っています。
ダウンなどで知られるブランドのモンクレールでもダイニーマ®を使った商品を出しています。宇宙服のような高性能なスキーウェアで、特別なデザインシリーズを展開しています。
ヨーロッパの会社ということもあり様々なブランドメーカーとコラボして、軽くて強い繊維という特徴を生かした新しいデザインの製品に色々と挑戦しています。アプリケーションのひとつとしてライダー用ジーンズやサイクルウェアが元々あったということがお分かりいただけると思います。
※ダイニーマ(R) は、Royal DSM社の商標です。Royal DSM社の正式な許可なく商標を使用することは禁じられています。
<< vol.1 ダイニーマ®繊維で知られるRoyal DSM社とは?
ダイニーマ®はオーダーサイクルジャージのEPICラインで継続が決まっています。(商品は今後公開予定ですのでお待ちください)
オーダーサイクルジャージのアイテムを見るにはこちら
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