BIORACER_Japanでは、海外の舞台にチャレンジしているアスリートをサポートしています。わたしたちはアスリートが挑戦する姿を伝え、自転車競技に沢山の方が興味を持ち、競技への理解や認知度が広がってほしいと考えています。

2020年からBIORACERをチームウェアに採用いただいているRoppongi Expressの高岡亮寛さんもその一人。2020年グランフォンド世界戦優勝を目標とする高岡さんのチャレンジを、ビオレーサージャパンが全面バックアップすることでスタートしました。

しかし同じ頃、世界はコロナ禍へと向かっていました。レースや大会が次々と中止になる状況の中、どのようにモチベーションを維持し計画を立ててトレーニングをし、2021年のグランフォンド世界戦へと向かうのかをお話いただきました。

目次

1.グランフォンド世界選手権とは? なぜ挑戦するのか

2. コロナ禍でのモチベーションの維持

3. ギネスに挑戦した理由

4. 今後挑戦してみたいこと

Q1:先日の南魚沼でのレース優勝おめでとうございます。週末の大会を控えお時間をいただきありがとうございます。まずは、グランフォンドとは何かをご存知ない方のために教えてください。また、高岡さんがグランフォンドに挑戦する理由を教えてください。

グランフォンドとは元はイタリアで始まったロードバイクでのファンライド的なイベントで、途中のエイドステーションで美味しい補給食が振る舞われたり、他人と競うのではなく自分のペースでゴールを目指すというロングライドが起源です。

しかしトップを走る選手たちのやっていることはロードレースそのものです。ではロードレースとグランフォンドで何が違うかと言うと、トップグループがロードレースで勝負を競っている一方その後では思い思いのペースで景色を堪能しながらゴールを目指す参加者もいるという点です。ロードレースでは足切り時間も短いですし、メイン集団から落ちて勝負から脱落するとあまり走っている意味はなくなります。

UCIのグランフォンドレースは広大で美しいコースが多く、先頭ではロードレースのような勝負が繰り広げられる一方で、制限時間内に完走を目指す人たちもたくさんいると思います。私はそこの先頭グループで行われる勝負がたまらなく好きで楽しんでいます。

ロードレースは数多くありますが、その中でもUCIグランフォンドがなぜ特別かと説明しますと、まずUCI主管という事が特別なステータスです。そして厳格にプロ選手の参加を禁止しているということは、UCI公認の”アマチュア”世界一を決めるレースと捉える事が出来ます。その点において特別だと思います。

また、UCI管轄のUCIの名前が付いたレース、日本ではニセコクラシックがそれに該当しますが、このUCIの名前が付くレースは私にとっては特別なステータスがあります。まず、それが表れているのが出場資格です。グランフォンドの世界選手権は、各国の予選上位の選手たちに参加資格が与えられます。

そして、優勝すると1年間UCI公認の世界チャンピオンジャージが着用できます。翌年は違う選手が世界チャンピオンになるかもしれませんが、世界チャンピオンに一度なった選手は、自身のジャージの袖口や襟などに世界チャンピオンの証であるレインボーストライプを入れることができます。元世界チャンピオンであることを生涯アピールすることができます。

これは自転車界の特殊なしきたりだと思いますが、わたしは小さな頃からこのチャンピオンジャージに憧れているところがありました。今アマチュアの世界ではUCIがお墨付きの大会でこのチャンピオンジャージを手に入れるチャンスがあるということで、数年前からフォーカスしてチャレンジしてみようと思いました。Roppongi Expressのチームジャージにレインボーストライプを入れること、いつかは必ず成し遂げたいと思っています。

- そして、ビオレーサー・ジャパンはそのウェアをビオレーサーで作ることが何よりの喜びです。期待しています。

撮影:三井至さん

Q:今年2021年のグランフォンド大会は、どんなコースかご覧になりましたか?高岡さんにとって得意なコースでしょうか?

正直自分の脚質がどういうコースに向いているのか良く分からないですが、逆に言えば、どういうコースでも対応してそれなりに走れると思っています。必ずしもコースに依存するわけではなく、どんなコースであれきついレースでどんどん選手が減っていくような展開になれば、わたしは良い成績が出せると思います。

今年のコースは、アップダウンで言えばいままで見たことが無いくらいに長い登りがあるコースです。このコースでは最後まで大集団でいくことはないだろう、本当に脚のある人しか残れないコースだろうと考えています。わたしもばっちりと仕上げていけばチャンスはあると思っています

-ライバルの選手はいますか?

世界選手権ではわからないです。予選大会で目立った成績を出している選手はチェックしたりしますが、明確にこの選手が強いと分かっている選手はあまりいません。2017年のレースではツールを走っていた元プロ選手はいましたが、今年のリストを見る限り別格な選手はいませんし、いたとしても名前を見る限り元プロの選手しかわかりません。ほとんどでたとこ勝負というか、実際にレースを走る中で周りの選手を見て、この選手は強そうだから注意しよう、いつもそういう感じです。

お互い選手の詳しい情報は拾えないです。今年は例年に比べ出場者が少ないので、各予選レースの優勝者くらいは調べようとは思っていますが、日本国内でのレースのように情報は取りにくいのが実情です。周りの選手も、日本から来たわたしの事をどんな選手か把握している人はいないでしょう。インターネットで調べれば過去グランフォンドで表彰台に立っていることなど分かるでしょうが、そこまでやる人が居るでしょうかね?お互い研究されていないんじゃないかと思います。

Q:直前のニセコのレースが中止になる中、どのような練習をして調整されてきましたか?

目標とするレース(グランフォンド)に向けて、レースに出て休んでを繰り返していくのが本当は良いのですが、実際にレースが無くなってしまうと、無くなっても同じようなテンションを保って練習に臨むことが難しかったです。特に今年の7月8月はレースが何もなく難しいと感じました。

8月はレースがなくなったからロングライドをやってみようとか、例年通り気温も35度以上で暑かったので今無理して練習してもばててしまうだろう、ニセコも無くなってちょうどいい、涼しくなった9月にペースを上げていこう、と気持ちを切り替えることにしました。

そうして先週9/20の新潟に出場し、今週は群馬でのレースがあります。世界選手権前に高強度のレースで体を慣らすことができるので、良い機会なので集中してやっていこうと思います。

9/20の南魚沼ロードレースE1で見事優勝されました。撮影:三井至さん

Q:コロナ禍でトレーニング方法も変わったでしょうか?Zwiftなどのインドアトレーニングは取り入れていらっしゃいますか?

Zwiftはコロナ禍の前から取り入れていました。たまたまコロナも重なりましたが、本格的にトレーニングに取り入れ始めたのは、コロナ禍になる恐らく1年位前からだったと思います。

-ビオレーサーでもインドアトレーニングのウェアはとても好評で、お客様からのご要望が多く実際よく売れています。一般のサイクリストにとってもインドアトレーニングはもう必須のトレーニング方法として定着したように思います。

体力的な面で非常に効率が良いのがインドアトレーニングです。私も自転車に乗る時間の結構な割合をインドアでスマートトレーナーとZwiftをつかってやることが増えてきました。

ただ、室内で走ることと外を走ることは似て非なるものではあります。インドアでのトレーニングが屋外でのトレーニングを100%カバーできるものではありません。むしろ極端に言えば、競技としては別物ということを念頭に置いてやったほうが良いと思います。

リアル世界のロードレースで強くなりたいなら、Zwiftメインでトレーニングをしたとしても週に何回かは外を走ることにより、パワーメーターに伝える力を実際に自転車を進ませる速さに変換するトレーニングがより重要になってきています。

Q:最近はロードレースだけではなく、ギネス挑戦、シクロクロス、グラベルなど様々なチャレンジ をされています。レース一本ではない、自転車に対する取り組み方が変わってきていますか?
 
 

 

色々な乗り方ができる心の余裕ができたのだと思います。以前はあれもこれもできませんでしたが、今は会社勤めではないので好きなことができる時間があります。また、店舗(RX BIKE)で様々なお客様とお話する機会があることもきっかけになったかもしれません。

昨年のギネスは新たな挑戦ではあったのですが、やろうと思い実行することができたのは、昨年コロナ禍でレースがなかったからでした。1週間で2,600kmを走るとなると、事前の準備はもちろん、走った後の体力の回復で練習ができなくなりますので、レースが無くなった昨年だからこそできたチャレンジだと思います。良い機会と言ったら良くないですが、コロナ禍という状況のなかで何ができるか考えていくと、コロナが無かったら今までのままだったら思いつきもしなかったことができた、それが良かったのだと考えています。

©JGRC/Roppongi Express

- 高岡さんが着てらっしゃったインタークーラーとロードレースワンピース長袖がSNSで注目を浴び、問い合わせが殺到しました。インタークーラーについては以前から予約販売していたにも関わらずです。高岡さんが着用するアイテムにはこれだけ注目が集まるのだと実感しました。

あのような大きなことにチャレンジするときは、あらゆることを想定して準備をします。その中で、インタークーラーは普段毎日いつも使うようなものではないのですが、あのチャレンジのシチュエーション中では役にたちました。そういう機材を極限状態で試す意味でもウルトラロングは面白いと感じました。

©JGRC/Roppongi Express

- ロードレースワンピース長袖は高岡さんのギネス挑戦の後に製品としてリリースしました。以前よりも素材が良くなって長袖でも暑くならないことをサイクリストの皆さんも実感していて、長袖が浸透してきています。

今日(9/24)は27~28℃まで気温が上がっていたので半袖ワンピースを着ましたが、わたし自身は長袖のワンピースを着てレースを走ることが多くなりました。日焼け防止で腕を隠すなら、半袖にアームカバーを付けるよりも長袖を着たほうが全然楽です。

Q:話を戻します。グランフォンド後に挑戦したいことはありますか?

ツール・ド・おきなわのレースが無くなってしまいました。通常海外から戻ると2週間の隔離期間がありますが、2週間の隔離が必要な地域からボスニア・ヘルツェゴヴィナは外れたようなので、隔離なしになりそうです。グランフォンド後は2021年シーズンは終了にしてひと段落しようと考えています。冬季は昨年同様シクロクロスに参戦する予定です。あとは、11月はじめに200kmのタイムトライアル大会に出場を予定しています。今までやったことが無いような新しいことをやろう、ということは特にありません。

ただ、今後冬から来年にかけて、500kmをノンストップで走るウルトラロングディスタンス、ブルベみたいな走りではありますが、それを毎月1回やってみようと思っています。これは完全に今までとは違う練習です。ロードレースに活きる練習ではないですが、ブルベの人たちのように速く走るのではなくとにかくずっと休みなく寝ないで走るトレーニングをやってみようと思います。

このトレーニングは身体へのダメージが大きいので、回復する期間が必要になり練習ができなくなります。ですので、4月5月は無理でしょうが、大会スケジュールを見てトレーニングレースの期間にエクストリームな身体への刺激としてウルトラロングを定期的にやりたいと思っています。

Q:ビオレーサーとの付き合いも2年になろうとしています。高岡さんからのご要望に対して日々改善していますが、ビオレーサーになって良かったことを教えてください。

わたしが自分で理想とする形、リクエストに対してしっかり応えていただいて、プロダクトが自分にとって理想の形に近づいてきているのが良いですね。腕の長さ、脚の長さや太さは個人によって違うので、自分に合うものを何回でも作り直して最高の一着を作ることにフォーカスしてくれているのが嬉しいです。特にビブショーツやワンピースのショーツに関してはフィット感が抜群です。

- 今回のグランフォンド世界戦で着用するウェアも、高岡さん専用にカスタマイズしたウェアを準備しています。これまでのご要望がつまった集大成のように私たちも考えています。このウェアを着て走る高岡さんを遠く日本から応援しています。今日はありがとうございました。

【Roppongi Express代表】高岡亮寛さん

1977年生まれ
神奈川県生まれ・東京都内在住
1998年ロードレース世界選手権U-23日本代表
2001年慶應義塾大学卒業・就職
2001〜2019年米系金融機関にて勤務の傍ら2007年より自転車レースに趣味として取り組む。トップアマチュア選手として活躍。
ツール・ド・おきなわにおいて3連覇を含む計6勝
2017年UCIグランフォンド世界選手権Age 40-44で2位。2019年 同3位

 

 


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