2026.06.10

Alpe d'HuZes 2026 — がん研究を支える登坂と、BIORACERの7年連続オフィシャルジャージ

富士ヒルクライムが終わり、大きなヒルクライムをひとつ走り終えた余韻が、いまの日本にはあります。その余韻が残るなかで、少しだけ目を世界へ向けてみたいと思います。

BIORACERはベルギーを拠点に、世界各地でさまざまな活動に関わっています。プロチームやレースへのウェア供給だけでなく、その土地ごとの取り組みに、ジャージという形で加わっていく。今日はそのひとつ、フランス・アルプ・デュエズで行われたある一日を紹介します。同じ「山を登る」でも、ここでの登坂は、レースとは少し違う意味を持っていました。

Alpe d'HuZes 2026
📸 Images: Jannemieke Termeer & Harry Kleijnen

フランス・アルプ・デュエズ。毎年6月の第1木曜日、約5,000人の参加者が谷から山頂まで、自転車で、あるいは歩いて登ります。がん研究のための資金を集めるチャリティイベント「Alpe d'HuZes(アルプ・デュゼ)」が、今年も開催されました。BIORACERは7年連続で、このイベントのオフィシャルジャージサプライヤーを務めています。

合言葉は「あきらめない」

2006年の初開催以来、Alpe d'HuZesはオランダ最大のチャリティ・スポーツイベントへと成長してきました。合言葉は「あきらめない(Giving up is not an option)」。参加者は1日のうちに最大6回、アルプ・デュエズを自転車で、あるいは歩いて登ります。谷のブール・ドワザンを出発し、プロロードレースでも知られる名峰のヘアピンを、ひとつずつ越えていきます。

目的はシンプルです。スポーツを通じて、がん研究のための資金を集めること。集まった資金はすべてAlpe d'HuZes/KWF基金に渡り、がんの科学研究と、病気とともに生きる人々の生活の質を高めるプロジェクトに使われます。2006年からの累計で、これまでに2億4,500万ユーロを超える資金が集まり、数百件にのぼるがん研究プロジェクトを支えてきました。

€25,020,619
ALPE D'HUZES 2026

第20回となった今年は、記録ずくめの大会になりました。参加者・ボランティア・寄付者・スポンサーが力を合わせ、暫定で総額25,020,619ユーロを集めています。スポーツと連帯、そして一人ひとりの物語が重なったとき、どれだけの力が生まれるか。その数字が、それを物語っています。

この数字の背後には、何千人もの個々の取り組みがあります。参加者は寄付ページを立ち上げ、自分の物語を語り、スポンサーを募り、家族や友人、同僚、地元の事業者から支援を集めます。すべての寄付が同じゴールへ向かい、1ユーロごとに研究が前へ進みます。

Alpe d'HuZes
あの坂をのぼる一漕ぎ一漕ぎは、ただ前へ進む以上の意味を持っています。多くの参加者にとって、それは自分が支えたい誰か、あるいは敬意を込めたい誰かに、一歩近づくこと。みんなが互いのために走り、山の上では見知らぬ者同士が友人になり、それがいたるところで感じられます。声をかけ合い、ときに抱き合う。そうした一つひとつの物語を、私たちのジャージが山頂まで運べること。それが、このパートナーシップを特別なものにしています。 Milan Vossen — BIORACER イベントマネージャー

ライダー以上のものを運ぶジャージ

オフィシャルジャージサプライヤーとして、BIORACERは今年もAlpe d'HuZesの公式参加ジャージを供給しました。ただし、これは単なるスポーツウェアではありません。支援が目に見える形になったもの。ジャージの背面には16のスポンサーロゴを入れるスペースがあり、参加者は自分を支えてくれる人たちを、文字どおり背負って山を登ります。

多くの参加者にとって、そのジャージは物語の大切な一部です。誰が自分を後押ししてくれているのか、なぜ自分は走り、歩くのか、誰の名前とともに登るのか。それが、一枚に表れます。山の上で、ジャージは記憶と動機を運ぶものになります。

Alpe d'HuZes 公式参加ジャージ
Alpe d'HuZes

木曜日、最初の登坂は午前4時30分、まだ真っ暗ななかで始まりました。ルート沿いには12,000本のキャンドルが灯り、500枚のバナーが掲げられ、夜明け前からサポーターが沿道に立って参加者に声を送りました。参加者には20時までの時間が与えられ、1日に最大6本の登坂に挑みます。努力と感情、そのあいだにあるすべてが詰まった一日です。

Alpe d'HuZus ボランティア向けジャージ
Alpe d'HuZus

ボランティアのための姉妹イベント、Alpe d'HuZus

メインイベントと並んで、前日の水曜には姉妹イベント「Alpe d'HuZus」が開かれます。レースウィークを通じて時間を捧げるボランティアのために用意されたもので、彼ら自身がこの坂を自転車で、あるいは歩いて登ります。この日は役割が入れ替わり、ふだんは登る側のAlpe d'HuZes参加者が沿道に立ち、ボランティアに声を送ります。

アルプ・デュエズの登坂

コースのこと

21
ヘアピン。谷のブール・ドワザン側の「21」から山頂手前の「1」まで降順に番号が振られ、各コーナーにはツール・ド・フランスのステージ優勝者の名前が冠されています。7番コーナーは世界的に「ダッチ・コーナー(Dutch Corner)」として知られています。
13.8 km
ブール・ドワザンのスタートから山頂のフィニッシュまでの距離。
8.1%
平均勾配。最大勾配は15%近くに達します。スタート直後の区間が最もきつく、最初のヘアピンまでは平均8〜9%が続きます。
約1,116 m
獲得標高。スタートの標高744mからフィニッシュの1,860mまで、1本の登坂で一気に駆け上がります。
アルプ・デュエズ山頂へ

Alpe d'HuZesのあいだ、この山はいつもとはまったく違う意味を帯びます。勝つことや記録を追うことではなく、記憶と希望に満ちた物語のための一日。ヘアピンをひとつ越えるごとに山頂が近づき、一漕ぎごとに、走る相手としている人たちへ近づいていきます。それが、Alpe d'HuZesを力強いものにしています。

今年の大会の余韻が残るなか、すでに次回へと目が向いています。2027年6月3日(木)、アルプ・デュエズは再びAlpe d'HuZesの山になります。大切な人を想い、物語を分かち合いながら、目的を持って登るために。そして、がん研究の資金を集めるために、何千人もの参加者が再び集まります。

6月 17, 2026